ホテルの経営者から興味深い情報を得ました。配膳ロボットの月額料金はなんと5万円だそうです。ロボットの最大の魅力は、彼らが「文句を言わず」、また「手抜きをしない」点にあります。
この話を聞いて、私は先日訪れたカフェのことを思い出しました。そのカフェでは、3人のスタッフのうち、本当に仕事に取り組んでいるのは1人だけでした。残りの2人は、何となく面倒臭そうに仕事をこなしていました。
このような状況を見て、私は思わず「ロボットの方が良いのではないか」と考えてしまいました。
配膳ロボットの月額料金が5万円
配膳ロボットの導入により、ホテルやレストランの運営は大きく変わる可能性があります。月額5万円というコストは、人件費やトレーニング費用を考えると、長期的には経済的にも有利かもしれません。
ロボットは確かに「文句を言わない」し、「いい加減に仕事をしない」のは大きな利点です。これにより、サービスの一貫性と効率性が向上します。また、人間のスタッフが行う退屈なタスクをロボットが引き受けることで、スタッフはより高度なタスクや顧客サービスに集中できます。
しかし、ロボットにはまだ限界もあります。特に、人間の感情を理解したり、顧客とのパーソナルな関係を築く能力は、現在のロボットにはまだ欠けています。また、技術的な問題や故障も考慮に入れる必要があります。
そのため、ロボットと人間スタッフのバランスを見つけることが重要です。ロボットは一貫性と効率性を提供し、人間のスタッフは顧客サービスの質を高め、顧客との人間関係を築くことができます。これにより、最高の顧客体験を提供することが可能になります。
AI、ロボットの進化以上に人間の退化・劣化が進んでいる
AIやロボットの進化は目覚ましいものがありますが、それ以上に人間の行動や態度の退化が進行していると感じる場面が増えてきています。その結果、「ロボットに任せた方が良い」と思う瞬間が増えています。
しかし、「ロボットに仕事が奪われる」という表現は適切ではないと私は考えます。それは、「勤勉な移民や日本人に仕事を奪われた」と言うのと同じです。どちらのケースでも、問題は「奪われる」側の態度や能力にあるのではないでしょうか。
AIやロボットの進化は確かに驚異的ですが、それと同時に人間の行動や態度についての懸念が増えているというのは、現代社会の大きな課題の一つです。
「ロボットに仕事が奪われる」という議論は、技術の進歩と労働市場の変化についての広範な議論の一部です。しかし、これは必ずしもネガティブな現象ではありません。技術の進歩は、より効率的で一貫性のあるサービスを提供する機会をもたらし、人間はより高度で創造的なタスクに集中することができます。
また、人間の「退化・劣化」については、20年以上も前にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの教授を歴任した森嶋通夫さんが著書『なぜ日本は没落するか』で、次のように現代の人間について述べています。
マルクスは経済が社会の土台であると考えるが、私は人間が土台だと考える。経済は人間という土台の上に建てられた上部構造にすぎない。それ故、将来の社会を予測する場合、まず土台の人間が予想時点までの間にどのように量的、質的に変化するかを考え、予想時点での人口を土台としてどのような上部構造――私の考えでは経済も上部構造の一つである――が構築できるかを考えるべきである。
つまり、当時の13歳〜18歳の人を見れば、50年後の政財界のトップがどうなっているかがわかる、というのである。これについての著者の見通しはまことに悲観的である。このことを更に現代の視点で見ると、現代の慣れきってしまった人間を見れば明らかである。
結局のところ、AIやロボットが進化する一方で、人間もまた進化し続ける必要があります。それぞれが得意とする領域で協力し合うことで、より良い社会を作り出すことができるでしょう。