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能にマーケティングは必要ない?日本の伝統芸能の本質を考える

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能にマーケティングは必要ない?日本の伝統芸能の本質を考える

能は日本の伝統芸能の一つであり、その独特の世界観と芸術性は国内外で高い評価を受けています。しかし、時折「能も歌舞伎のようにもっと現代的にして、CMを打つなど、プロモーションすればお客がたくさん入るのに …」といった意見が聞かれることがあります。しかしそれは素人の意見であり、実のところ、能にマーケティングは必要ない理由がいくつか存在します。

能にマーケティングは必要ない理由

今回は「能にマーケティングは必要ない」理由について、能楽師、ワキ方、下掛宝生流の安田登さんのツイートを元に、その理由を探ってみたいと思います。

組織の違い

能と歌舞伎の運営形態は大きく異なります。歌舞伎は松竹という企業が運営しており、マーケティング戦略が必要とされる一方、能は個人が主体となって活動しています。このため、能には企業経営のようなマーケティング戦略は必要とされません。それどころか、個人主体であることが能の自由さや独自性を生み出しています。

規模の違い

国立能楽堂ですら最大600席と、能の規模は歌舞伎と比べて小さいものです。そのため、大勢のお客さんを呼ぶ必要性はありません。これは、能の魅力がその親密さや緻密さにあることを示しています。

大衆化の危険性

もし能が大衆化され、規模が拡大すると、能面の微妙な表情が見えなくなり、かつての浪曲と同じ失敗を招くことになります。能の魅力は、その細部にこそあるため、大衆化は逆に能の価値を損なってしまう可能性があります。

伝統と自由さのバランス

能が企業経営になると、大衆の好みに合わせるようになり、「家柄主義」などの現象が生まれることが予想されます。しかし、能の魅力は、宗家・家元が重要である一方で、家柄にとらわれずに活動できる自由さにもあると言えます。企業経営化することで、この自由さが失われることは避けたいと考えられます。

結論

総じて、能にマーケティングが必要とされる理由は見当たりません。それどころか、マーケティングによる大衆化や企業化が、能の本質を損なってしまう危険性があります。

能は、その独自の世界観や伝統を大切にしながら、規模や組織の違いを理解し、自由さを維持していくことが重要であると言えるでしょう。能を現代に伝えるためには、無理にマーケティング戦略を取り入れるのではなく、その独特な魅力を広めることが望ましいと考えられます。

これにより、能がこれからも日本の伝統芸能として、その魅力を存分に発揮し続けることが期待できるでしょう。