私たち人間は、将来よりも現在を気にし、今すぐ物や経験、消費を欲しがります。だから、永久成長や指数関数的な利息の実現不可能性は他人事で、だからこそ、私たちは常にそれを認識し、常に缶を前に蹴り出すのです。
これは、人間の「現在バイアス」や「割引率」に関する心理学的な概念を表しています。人間が即時の報酬を遅延報酬よりも高く評価する傾向を指します。つまり、私たちはしばしば現在の利益を追求し、その結果として将来の可能性や利益を無視または過小評価します。
この傾向は、個人の行動だけでなく、経済や社会全体の動きにも影響を及ぼします。例えば、短期的な利益を追求することで環境問題が深刻化したり、経済的なバブルが生じたりすることがあります。
私たちは、現在の欲求を満たすために、将来の問題を先送りにし、今目に見える利益、欲求を追求してしまいがちですが、長期的な視点を持つことも大切です。
正の時間選好性
この傾向は、人間は未来よりも現在を好み、いわゆる「正の時間選好性」を持っているからです。そしてこれは、経済的にも財政的にも有利に働きます。「正の時間選好性」は、経済学や行動経済学でよく議論される概念です。
これは、人間が現在の利益や報酬を将来のそれよりも高く評価する傾向を指します。具体的には、同じ価値の報酬でも、今すぐ得られるものを将来得られるものよりも好むという傾向です。
この傾向は、経済的な意思決定において重要な役割を果たします。例えば、投資や貯蓄、消費、借入などの決定は、時間選好性に大きく影響されます。また、この傾向は、インフレーション率や利子率などの経済指標にも反映されます。
しかし、正の時間選好性が常に有利に働くわけではありません。短期的な利益を追求するあまり、長期的な視点を欠いた決定を下すことがあるからです。
これは、環境問題や健康問題、財政赤字など、将来的な問題を無視または過小評価する結果を生むことがあります。したがって、時間選好性を理解し、それが経済的な意思決定にどのように影響するかを考慮することは重要です。
また、個々の意思決定だけでなく、社会全体の政策や制度設計にもこの概念を適用することが求められます。